アイデア発想法5つとおすすめ本【イノベーションを起こすタネ】
当ブログ記事ではイノベーションを起こすための最初のタネとなるアイデアの発想方法について紹介しています。
アイデア発想方法をたくさん知りたい人におすすめの本の紹介、具体的な発想方法について知りたい人へ5つの方法を提案しています。
Contents【クリックできる目次】
たくさんのアイデア発想法を知りたい人におすすめの本
最初に「とにかくアイデア発想方法をたくさん知りたい」という人のためにおすすめの本がこちら「思考法図鑑 ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60」を紹介しておきます。
こちらはどのような思考方法があるか「俯瞰的にざっと知る」ことを目的として見るのにおすすめの本です。
世の中に出回っている発想手法がおおよそ網羅されているので、この中から自分やチームに合いそうな発想方法・フレームワークを選ぶとよいでしょう。
もしも一つの方法について詳しく知りたい場合は、それぞれ個別の方法について書籍を探した方がいいです。
以下、目新しくはないですが有名かつ私が効果的と思う手法5つについて説明します。
代表的な発想法と思考の可視化術
- ブレインストーミング(ブレスト)
- TRIZ発明原理
- オズボーンのチェックリスト
- マンダラート(思考の可視化術)
- マインドマップ(思考の可視化術)
もちろん他にも発想法はたくさん存在しますが、チームでの運用を考えると知名度があって安心感がある方が良い、また実践的で機能性の高い方が良いので、まずはこれらのマスターをお勧めします。
ブレインストーミング【定番のブレストとKJ法】
まずは定番のブレインストーミング(ブレスト)とKJ法です。
説明が長くなってしまったので別記事を書きました。
→ ブレインストーミング 2つの重要事項と4つのルール
「ブレストってよく聞くけど、どうやればベストなのか」
「新規事業をみんなで考えよう、とみんなで会議室に集まってブレストしたがうまくいかない」
そんな状況に心当たりがある人はブレストのやり方をおさらいし、さらにKJ法も同時に実施することをお勧めします。
またデザイン思考のフレームワークにおけるアイデアの発散と収束の段階において、このブレストとKJ法は相性がいいことで有名です。
デザイン思考に沿った開発フローを進める場合は必ず抑えておきましょう。
TRIZ発明原理【強制発想の定番】
ブレストは自由連想でしたが、TRIZ(トゥリーズ)は強制発想法の一つです。
強制発想とはあるテーマや案件に対して着眼点や切り口を変えて、強制的にアイデアを発想する方法です。
TRIZはロシアのアルトシューラという人が膨大な特許や発明の案件を分類・検証した結果から、考案した発明原理(クラシカルTRIZ)が元となっており、この考え方がアメリカに渡りコンテンポラリTRIZとして進展しています。
膨大な発明や特許の案件は「40の発明原理に分類することができる」という考えで、この40の発明原理によって着眼点を変えることで発想を得ます。
この40の発明原理をすべて覚えておかなければいけないという訳ではありません。
パレートの法則のように、該当することが多い上位の発明原理を知っておけば、半分弱程度の発明が該当するとも言われているので、下記の頻度が多い原理を知っておくのがおすすめです。
- 分割原理(発明原理1)、分離原理(発明原理2)
あるものを分割できないか。例えば、カッターの刃などのように摩耗・不具合が頻発する箇所を分離して交換。 - パラメータ変更原理(発明原理35)
温度、圧力、電流など、パラメータを変えたり、液体・気体など状態を変えて課題解決できないか - 先取り作用原理(発明原理10)、反動の先取り作用原理(発明原理9)
後で必要になることを先に仕込んでおく、あらかじめ反動をつけておいて乗り越える。 - ダイナミクス性原理(発明原理15)
広い環境範囲をカバーして使用できるように状態変化する。例えば水道配管の鉄管を樹脂ホースへ変更。 - 周期的作用原理(発明原理19)、短時間原理(発明原理21)
連続的な動作を周期動作に変える。例えばパーツフィーダの部品落とし用の連続エア吹きを間欠にして省エネ。 - 逆発想原理(発明原理13)
上下・左右や動作・順番・意味など逆にして考える。
他の発明原理を知りたい人は書籍を見ながら、今の課題に当てはめてアイデアを発想してみると面白いと思います。
工場の改善活動や省エネ、5Sなど小さな問題・課題がたくさんある環境でグループ活動として、発明原理をいくつか適用して考えていくと解決するパターンが出てくるので楽しいです。
トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール トリーズ(TRIZ)の発明原理...
上記の発明原理はクラシカルTRIZに位置付けられており、さらに現代版の発明原理として問題解決の思考プロセスに着目したコンテンポラリTRIZへと研究が進められています。
クラシカルTRIZは「アイデア創出・発想」に主眼を置いていましたが、コンテンポラリTRIZはその前段階である問題定義・分析といったプロセスに着目しています。
システム図やブロック線図のような入力・出力を考えて記入しながら、問題発生に至るシステム全体像を考えるもので、専用ソフトウェアやWebアプリもリリースされています(少々専門的すぎるのでここでは割愛)。
自分の抱える課題に当てはめて考えるのに、取っ掛かりやすくて直感的にわかりやすいと感じたのがこちらの書籍「トリーズの9画面法」のシリーズです。
オズボーンのチェックリスト 【ブレストとセットで】
オズボーンのチェックリストもTRIZ同様に発想の着眼点を切り替えながら考えていく強制発想の手法です。
着眼点として9個の項目があります。
- 転用:他の使い道がないか?
- 応用・借用:似た事例や分野はないか?
- 変更:色、柄、形、意味、動きなど変えることができないか?
- 拡大:大きく、強く、長く、高頻度に変えることができないか?
- 縮小:小さく、弱く、短く、低頻度に変えることができないか?
- 代用:他の材料、処理、設備、プロセス、人、成分で代用できないか?
- 置き換え:各要素の場所、配置、担当、順番を変えることができないか?
- 逆転:前後・左右・上下・反転・裏表など逆転できないか?
- 組み合わせ・結合:組み合わせたり結合できないか?
オズボーンのチェックリストはブレストとセットで語られることが多いので、ブレストする際のホワイトボードの横に張り出しておいても面白いかもしれませんね。
マンダラート(マンダラチャート)【思考の可視化術】
マンダラート(マンダラチャートとも呼ばれる)は、最近メジャーリーガーの大谷選手が使用していると話題になり、知った人も多いのではないでしょうか。
仏教の曼荼羅(マンダラ)模様に似ているのでこのような名前が付けられています。
正方形を9つに分割し、中央のマスにテーマや課題を記入します。
その周囲の8つのマスに、連想するテーマや因子を記入します。
次にその8つの因子をそれぞれ外側に飛ばして配置し、その因子を囲むように8つの空欄マスを準備します。
こんな感じです。
あとは最初と同様に各因子に関係する事柄を周囲の空欄マスに埋めていき、視覚化していきます。
同じものがあってもOKであり、同じものが出現するということはそれだけ重要であるとも言えます。
マンダラートのいいところは「考えを視覚化できる」ことです。
それを眺めていると、自分にとって今まで気にしていなかったことに気付いたり、重要視していなかったけど重要であることに気付くことができます。
新しいアイデアを発想する側面よりも、俯瞰して客観的に観察することで、今までの自分の思考のバイアスや囚われごとを取り除く効果があります。
マンダラートは作ることが目的ではなくて、それを眺めながら整理して優先順位をつけることが目的なので、作成して満足しないように気を付けましょう。
マインドマップ思考法【繋がりが見えてくる】
マインドマップも思考を可視化するための手法です。
こちらもマンダラートと近い考え方で思考を可視化して客観的に眺めるのに役立ちます。
マインドマップの方が因果関係や相互関係が見えやすいので私個人としては好みです(技術士資格試験の論文対策にマインドマップを作製していました)。
自分の考えていることの繋がりを視覚化でき、さらにそれを眺めていると新たな繋がりや関係が見えてきます。
マンダラートもマインドマップもイノベーティブな発想法というよりも「思考を客観視してそこから着想を得る」という方法で機能すると考えています。
発想はイノベーションを起こすためのスタート地点
5つの発想法・思考の可視化術を紹介しましたが、アイデアや発想は「問題が明確になっているとき」に最も効果を発揮します。
逆の言い方をすると問題や課題が明確になっていない状況でアイデア勝負で発想しても、最終的な課題の解決に至ることができません。
実際に目に見えている問題・原因の場合は、これらの発想法が機能しやすいので、慣れないうちはそのような課題をターゲットにして発想法の運用やチームでの活用に慣れていくのがおすすめです。
私の肌感覚としては、製造業やITなどロジカルな課題に対してはTRIZやオズボーンのチェックリストが向いており、マンダラートやマインドマップのような思考の可視化術は「答えが複数あるような課題」をじっくり考えることに向いている印象です。
マンダラートやマインドマップは、例えば大谷選手のような自分の未来の目指す目標、因子が複合的な社会問題、顧客ニーズの掘り下げ、といったような自由度のある課題、複雑化した問題に対して、因子とその関係を並べて客観的に俯瞰して考えることに適していると思います。
当たり前ですが、これら発想法や思考の可視化術は使ってみないと意味がありませんし、イノベーションも起きません。
アイデア一番で出た発想がそのままイノベーションに繋がる確率も非常に低いです。
イノベーションを起こすという最終結果に繋げるには、出てきた初回のアイデアを何回もブラッシュアップして具現化していく作業がとても重要になってきます。
アイデア発想はスタート地点と考えて、活動の継続を意識していきましょう。
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こちらのブログ記事ではイノベーション関連のおすすめ本を紹介していますので参考に
イノベーションおすすめ本【組織論や開発・新規事業プロジェクトの進め方を学ぶ】
発想法以外にもイノベーションに関する組織論や事例についてこちらにまとめていますので、ぜひ。
→ イノベーション組織・新規事業プロジェクト 総まとめ